Sound Tracks > Spaghetti Western

Artist

STELVIO CIPRIANI

Title

THE BOUNTY KILLER
UN UOMO, UN CAVALLO, UNA PISTOLA
NEVADA


bounty killer
Japanese Title (未)/(未)/(未)
Date 1966 / 1967/ 1971
Label CAM 493106-2(IT)
CD Release 1998
Rating ★★★★
Availability ◆◆◆


Review

 "THE BOUNTY KILLER"は、チプリアーニ29歳のときの映画音楽デビュー作。エレキ・ギター、トランペット、エレキ・ベース、ドラムスを中心にラフで芯の太いマカロニらしいスコアを書いた。基本的には、ヒロイックで疾走感にあふれたメイン・タイトルと、哀愁を帯びたスローなセカンド・タイトルの2曲からのバリエーションであり、このパターンはモリコーネの初期マカロニ作品からの影響だろう。全体にゴツゴツした質感が最高。全9曲。
 
 "UN UOMO, UN CAVALLO, UNA PISTOLA"でも、モリコーネをより男っぽくしたようなストイックな曲調は健在。それどころかモリコーネ色がいっそう強くなった印象さえ受ける。モリコーネとのちがいは、チプリアーニはモリコーネの定番であるコーラス(絶叫らしきものはあるが)、ピアノ、ストリングスをいっさい使っていないか、使っていてもごく控えめであること。低予算のためオーケストラが使えなかったことも理由としてあろうが、このことがかえっていい結果を生んでいる。ただし、“愛のテーマ”風のロマンティックな展開は望めない。
 出色は'ZOCCOLI NELLA POLVERE'。アルト・フルートの前奏からお約束のトランペット独奏へ、するとテンポ・アップしてファズの効いたエレキ・ギターの颯爽としたテーマ部になだれこむ。そこに突然、ホワイト・ノイズが入り音楽は中断、スペイン風のファンダンゴがはじまるというわずか2分16秒のうちにめまぐるしく曲調が変わる凝りに凝った趣向。全11曲。
 
 前2作とは対照的に、スペイン製ウェスタン"NEVADA"はストリングスをフル活用したロマンティックなスコア。同一主題を執拗にくり返してみたり、ゆったりしたリリカルなメロディを入れるところなど、70年前後のモリコーネにそっくり。ひとつのモチーフが反復されるにしたがって徐々に膨れ上がり過激になっていく。ストリングスによる早いパッセージの反復はマイケル・ナイマン風にも聞こえる。ただし、ここでもコーラスは使われていない。ラストは、本盤唯一のヴォーカル曲。ドン・パウエルの悠揚とした歌いぷりも悪くない。全7曲。


(6.8.03)



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by Tatsushi Tsukahara